6月3日にすみだトリフォニホールにて開催されたアルゲリッチ&フレンズ~イヴリーギトリスへのオマージュというコンサートへ行ってきました。80歳を超えてもなお現役第一線で世界を股に活動してくれているアルゲリッチを、同じく高齢の私が生きているうちに(アルゲリッチさんとは一回りくらい違うけど)聞いておきたいと思い、先行予約でなんとかチケットを手に入れました。
満席のすみだトリフォニーホールのだいぶ後方の席で(それでも手数料入れてなんだかんだ9000円くらい)、舞台が夢の中の様に小さく遥か彼方に見えるため、どんなふうに聞こえてくるのか始まるまで不安でした。
が、1曲目のフランクのヴァイオリンソナタのピアノのイントロでその不安は消えました。なんと美しい音色。これまで何度となく聴いている曲ですが、初めて聴くような誘い込むような幻想的な美しさに、一瞬でわー来て良かった、と思いました。ホール自体の反響構造のみの音響なのか、それとも全曲マイクをセッティングしていたので音響機器を微妙に使用していたのか、そこらへんがわからないのですが、ともかく自然なぬくもりのある生の音色を終始堪能できました。
日本のソリストとの室内楽のコンサートでしたがアルゲリッチさんがトークの後サービスで、ショパンの「パガニーニの思い出」をソロ演奏してくれました。それがまた実に絶品でした。
私なりに感じるのは、アルゲリッチのピアノは自然な流れの心地良い音楽でありながら、やはり全体像の骨格がしっかりしていること、すべての音に意味があり多彩な音色で魅力的にコントロールできていること、室内楽においても見事に誘導したり盛り上げたり寄り添ったりしながらかつ強引さは全くなく共演者とともに作品を完結させていること、などなどです。そんな超熟練された素晴らしさをじっくり感じながら、感動感激してきました。
トークコーナーでギトリスとの具体的な逸話などをもう少し聞きたかった気もしますが、インタヴュアーさんの質問はイメージで例えるとみたいなものばかりで、アルゲリッチさんも戸惑っていらっしゃり、聞く方もよくわからないコーナーになってしまったのが少し残念な点だったかな。
とは言え、久しぶりにレッスンをキャンセルさせてもらい出かけて来ましたが、素晴らしい演奏にとてもリフレッシュ出来たのでした。夫も無事に留守番出来、帰宅時にはすでに寝ててくれてなんとか万事OK。