レコードプレーヤーとお別れ

結婚してまず買ったものがレコードプレーヤーとアンプとスピーカーだった。夫と秋葉原へ行き、店内で二人でいろいろな響きを真剣に聞き、夫と意見が一致したものを揃えた。まだ子供を産む前で、将来の大変さも人生の荒波も知らず、好きな音楽を良い響きで聴きたい一心で、貧乏夫婦にもかかわらず結構気前よく買い揃えた。結果的には、それは本当に素晴らしい響きを長年にわたり我が家にもたらしてくれたのだった。

スピーカーはタンノイで、レコードプレーヤーはデノンだったが、その組み合わせは、本当に最高だったし最高の思い出の音だったと思っている。しなやかで柔らかくて深くて濃淡の幅が大きくスケール感もあった。

けれどたぶん、20年くらい経過するころからスピーカーにわずかな雑音が入り始めたり、レコードからCDへと変わるにつれ、新たなプレーヤーを購入したりアンプを変えたりしていき、そのうち夫が倒れたこともありスピーカーもレコードプレーヤーもただの大きな置きものとなってしまった。

老いたスピーカーのほうはそれでもごまかしつつ夫が使用していたけれど、5年位前にハードオフで新たなスピーカー(DIATONE)と交換した。現在は、リビング横の夫の部屋に新たなCDプレーヤーとアンプとスピーカーが揃えてある。この音はリビングでも聞くことが出来、我が家に響く新たな音はこれはこれで結構爽やかな良い響きではある。

さて、老いて壊れたままのレコードプレーヤーの処理はなかなか踏ん切りがつかずピアノの部屋に眠ったままであった。しかし先日とうとう終活せねばとハードオフに運び込み手放した。手放してみると、ことさらに幸せを運んでくれたかのようなその若い頃の響きが懐かしく思える。

レコードプレーヤが置いてあった場所に観葉植物を置いた。壊れたものを置いているよりは気持ちが良いかな。