モネ展

マルモッタン・モネ美術館所蔵のモネ展(東京都美術館)へ先週金曜日に行ってきましたので書いておこうと思います。

9時30分開室ですので、それに合わせて出かけました。平日だったこともあり並ぶことなくすんなり入室でき、じっくり絵と対峙できました。(見終えて出るときは、これから入室する人がずらーっと入り口から並んで大変混雑していましたが。)

以前からモネの絵は好きですが、昨年山形へ旅行した際、山形美術館でモネの「睡蓮」を見た時に、その素晴らしさを心から実感できました。というのも、クールベ、マネ、ピサロ、シスレー、セザンヌ、ルノアール、ゴッホ、ユトリロ、シャガール等の名作がたくさん展示されている中、どれも素晴らしかったのですが、やはり「睡蓮」の光と色彩と存在感は特別に思えました。(この時はほとんど観客一人でしたから、贅沢にじっくり見比べつつ味わえたのです。)

今回のマルモッタン美術館のモネ展では、モネの生涯を知り、さらに理解が深まったようにも感じています。

その色彩と構図の温かさ、大胆さ、バランスは、やはり家族を愛し、自然を愛し、人生を愛し全うした人であったと思えました。不条理や病んだ感情を表出するタイプの芸術家ではないのです。

晩年の抽象的な作品も初めて見ました。70代、80代では奥さんを亡くし、長男を亡くし、友人を亡くし、自らの目も悪化します。

そんな晩年の抽象的に描かれた絵は、現実の形を超越し、その色彩と魂だけが作品として存在しているかのようでした。遠くから眺めると、ぼんやりと形も浮かび、そしてそれがとても美しいのです。その美しさに癒されました。

モネの死後、ご家族が大切にされてきた絵であることがわかる気がします。

作品の題材の池や花は、モネ自身が創作した自宅の庭だそうですが、一流の芸術家は凝り始めると、庭でさえもこうも凡人と違うものかと、そんなことも感じました。温かな人間味のある偉大な天才だと思います。