キット・アームストロングを聴く

午後からさいたま芸術劇場へキット・アームストロングを聴きに行ってきました。

キット・アームストロングは、あのブレンデルに「これまでに出会った最も偉大な才能の持ち主」と言わしめた1992年生まれの天才ピアニストです。

本日のプログラムは、前半がC.P.E.バッハの「自由な幻想曲」、演奏者自作の「左手のための3つの幻想曲」、スウェーリンクの「わが青春はすでに過ぎ去り」、演奏者自作の「細密画」で、後半がJ.S.バッハの「パルティータ6番」でした。

前半の曲は初めて聞く曲ばかりです。しかし、彼がピアノの前に座り初めに出した音で驚きました。これまでこのホールで多くのピアニストを聴いていますが、初めて耳にするような芯のある美しい音でした。それがずっとずっとどこまでも、どこもかしこも美しく、理性と情熱との完成品として続きました。自作の曲は心象風景を表現したような題名付き小品の組曲で、それぞれ即興的な雰囲気の音楽で、素晴らしかったです。後半のパルティータ6番は、意思や意図を前面に打ち出すようなとても情熱的で説得力のある演奏で大変見事でした。

彼は、数学の学位もパリ大学で取っているそうで、作曲はピアノを習い始めるとすぐに作り始めていますし、もう、頭の中は、疑うことのない本物の大天才人間です。だからと言ってはなんですが、彼のピアノを聴いていると、もうその隙のない天才的芸術に「ちょっとオバサンついてけへんは」と正直言いたくなる感じもなきにしもあらずでした。どの音も美しく、どの音も意図があり、淀み一つもなく、どの音もかっこ良く輝いているのだもの。還暦過ぎた頭ゆるんでるオバサンとしてはね、ちょっと、ホットもしたいねん、なんてね。

今日は午前中に混声コーラス「さかなの会」で仕事をし、昼食は豚骨ラーメン。スープをほとんど飲んでしまったせいか、よけい頭ゆるんでたかもな。