私のピアノ教室はコンクールは積極的には勧めていません。確かにコンクールは目標に向かって前向きになれるメリットがありますが、生徒さんによっては結果が出ないと自信を無くされたり、燃え尽き症候群のようになり、音楽と離れてしまう危険もあり指導者としては大変難しいものです。
とは言え、勉強のために、コンクール課題曲説明会のような講習会に行ってみたりすることもあります。
おもしろいのは、指導専門の先生と、プロのピアニストの先生と、作曲専門の先生と微妙に視点が違います。
例えば、ある女性の指導専門の先生は、生徒さんへの言葉がけが大変上手で、その魔法のような言葉がけはついつい言葉足らずになってしまう私としてはとても参考になります。が、「参考CDより遅く弾いては不利ですから速めの演奏をするようにしてください。」を強調されていた点は、こどもの音楽的成長をコンクール対策という1点にのみ合わせてしまう感じで、あまり良い気がしませんでしたが…。
そこへいくと、現役男性ピアニスト先生は違いました。僕はこの曲をこう感じます、と理論的にも自身の感性としてもはっきりと的確な言葉で説明しながら表現して聞かせてくれます。コンクールではなく、コンサートであるかのような視点です。
ただ、こども達がどれだけその素晴らしい音楽を吸収してくれるかといえば、個人差が大きいし、指導力も試されます。
先日は作曲専門の先生の講習会に行ってみました。和声の変化、変わったメロディの発見、旋法の使われ方、など、普段見落としてしまいそうな楽譜上の魅力をたくさん指摘してくださり、指導者としてというより、普通に自分にとってとても勉強になりました。
その先生の余談コーナーでは、「演奏中の大げさに感情を込めた無駄な動き、あるいは、いかにも的なお腹を押さえてどうしたのみたいなお辞儀は、コンクールの審査に全く関係ありません、弾いてる人が何かを感じてくれているなという美しい音楽が大事なのです。」と仰っていました。
これも同感でした。美しさや楽しさを生徒さんと一緒に発見できる先生でなければいけないということですね。